つみたて投資Lab
100時間でマスター株式投資初心者連載

株の銘柄選びと決算の読み方|100時間でマスター Vol.2

前回の Vol.1 では、株のしくみ、口座とNISA、代表的な株価指標、そしてファンダメンタル/テクニカル分析の入口を、ざっと見渡しました。

今回の Vol.2 では、気になる会社を見つけ、決算と財務を確認する調査手順を扱います。指標だけで購入判断はできない点も整理します。

Part1 銘柄探しは「身近」から始める

最初の一歩でつまずく人の多くは、「何を買えばいいか分からない」で立ち止まってしまいます。

ここでのコツは、いきなり全銘柄の中から探そうとしないこと。出発点は、もっと身近なところにあります。

毎日使っているアプリ、よく足を運ぶお店、お気に入りの製品をつくっている会社。実はそれらの多くが、上場企業です。

身近な会社は調査の出発点になりますが、商品への好感と投資価値は別です。候補数に固定の基準はなく、比較対象を用意して開示資料を確認します。

Part2 スクリーナーで候補を絞る

会社をいくつか書き出したら、「スクリーナー(銘柄検索ツール)」で条件を比較できます。一部の証券会社や情報サービスが提供しています。利用料金・表示項目・更新頻度は提供元で異なります。

スクリーナーで表示できる代表的な条件には、次のようなものがあります。

時価総額は会社の市場評価額、PERは利益に対する株価倍率、PBRは純資産に対する株価倍率、配当利回りは株価に対する予想配当の割合です。大小だけで安定・割安・配当の持続性は判断できません。

条件を設定すると候補を絞れますが、時価総額・PER・利回りの固定しきい値は公的な選定基準ではありません。業種や市場環境で水準が異なります。

最初は条件をゆるめにして、表示された会社名をただ眺めるだけでも十分。それも立派な練習になります。

Part3 決算書を開いてみる

候補が決まったら、いよいよその会社の「決算」を見ていきます。決算とは、いわば会社の成績表です。証券会社のアプリや、会社の公式サイト(IR情報)から、誰でも見ることができます。

損益計算書(P/L)では、売上高、営業利益、純利益などを確認します。これらだけでなく、貸借対照表とキャッシュフロー計算書も合わせて読みます。

売上高は主な営業活動による収益、営業利益は売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いた段階利益、当期純利益は税金等を反映した最終段階の会計上の利益です。いずれも現金残高そのものではありません。

前年より増えていても、買収、為替、会計変更、一時要因で伸びる場合があります。複数期間と会社説明で要因を確認します。

Part4 自己資本比率を他の資料と合わせて見る

たとえ利益が出ていても、借金が多すぎる会社にはリスクがあります。そこで次にチェックしたいのが、財務の健全性です。

自己資本比率は、総資産に対する自己資本の割合を示す指標です。比率だけで返済能力や財務の健全性は判定できません。

自己資本比率に業種横断の安全基準はありません。金融など事業構造によって水準が異なるため、同業比較、負債の内容、返済期限、キャッシュフローを確認します。

自己資本比率だけでは財務の健全性を判断できません。流動性、負債、資金繰り、注記も確認します。

Part5 成長性と「割高・割安」を、一緒に見る

売上・利益等の推移と現在の株価倍率は、前提をそろえて別々に確認します。どちらか一方または両方から将来の成長や株価を確定できません。

売上と利益の推移は成長を確認する材料ですが、将来の継続や株価上昇を保証しません。PERには市場の期待やリスク認識が反映されます。

PERは同業他社や自社の過去推移と比較し、利益の質、成長率、財務、事業リスクの違いを確認します。低いだけで割安、高いだけで割高とは断定できません。

「成長」と「価格」のバランスで見る——これが、判断の大切なコツです。

Part6 仮の1社で、手順を実演してみる

ここまでの流れを、仮の会社で通してみましょう。

まず、身近なテーマからA社を発見します。スクリーナーで規模と指標を確認すると、時価総額は大きく、PERは業界平均並みでした。

次に損益計算書を開くと、売上・営業利益・純利益のいずれもが数年にわたって増え、自己資本比率は50%でした。これだけでは財務の健全性を断定できないため、キャッシュフロー、負債、注記も確認します。

さらにPERを同業と比較し、差の要因を調べます。この例は調査手順の説明であり、数値条件を満たせば購入候補になるという基準ではありません。

大切なのは、1社だけに賭けず、複数を比べること。これは特定の銘柄を勧めるものではなく、あくまで「判断の手順」を身につけるための練習です。

Part7 まとめと、次の一歩

企業調査では、「候補 → スクリーナー → 決算 → 財務 → 成長と価格」の順に情報を整理できます。固定しきい値だけで売買判断はできません。

最初から完璧を目指す必要はありません。候補を眺めて、決算を開いてみる。その習慣をつけるだけで、十分なスタートです。

次回 Vol.3 では、「選んだ銘柄をどう組み合わせるか(分散・ポートフォリオ)と、買い時の考え方」を解説します。どうぞお楽しみに!

[免責] 本記事は教育・情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却・保有を推奨または勧誘するものではありません。本文中の数値・試算は記載条件に基づく概算で、将来の運用成果、配当、価格回復または元本を保証しません。制度・税制は変更される場合があります。最新の公式情報を確認し、投資判断はご自身の責任で行ってください。

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※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。 投資判断はご自身の責任で行ってください。