決算書は、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)を、会計方針や注記と合わせて確認します。 単一の利益率、比率、CFの符号だけで安全性や将来性は判定できません。
Part1 決算書は3つの表でできている
会社の決算書(財務諸表)の中心になるのは、次の3つです。
損益計算書(P/L)は、どれだけ儲けたかを示します。貸借対照表(B/S)は、何を持ち、いくら借りているかを示します。キャッシュフロー計算書(C/F)は、現金がどう動いたかを示します。
この3つは、いわば「成績・体格・血流」のような関係です。それぞれ違う角度から、同じ会社を映し出しています。
だからこそ、1つだけで判断せず、3つを合わせて見ることが大切です。
Part2 損益計算書(P/L)——稼ぐ力を見る
P/L は、一定期間の儲けを示す表です。ここで注目したいのが「段階利益」です。
- 売上総利益=売上高−売上原価
- 営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費
- 経常利益は、日本基準では営業外収益・営業外費用を反映した利益です
- 当期純利益は、特別損益や税金等を反映した最終段階の利益です
売上高と営業利益の増減要因は、価格、数量、商品構成、原価、人件費、一時要因等に分けて会社開示で確認します。
Part3 利益率で「質」を見る
金額だけでなく「率」に目を向けると、会社の“質”が見えてきます。
代表的なのが「売上高営業利益率」(営業利益÷売上高)。これは、売上のうちどれだけが本業の利益として残るかを示します。
同じ売上1,000億円でも、利益率5%の会社と20%の会社では、稼ぐ効率がまるで違います。
ただし、標準的な水準は業種によって異なります。だから比べるときは、同業他社と見比べるのが基本です。
利益率の変化は、価格改定、商品構成、原価、人件費、会計上の一時要因などを確認し、競争力の変化だけで説明しません。
Part4 貸借対照表(B/S)——体力と安全性を見る
B/S は、ある時点での財産と借金の一覧表です。
左側に資産(現金や設備など)が並び、右側に負債(借金)と純資産(返さなくてよい自分のお金)が並びます。
自己資本比率・流動比率は、業種、資本の内容、在庫・売掛金の回収可能性、負債期限、キャッシュフローと合わせて確認します。単独で安全性を判定しません。
借金が即・悪いわけではありません。ただし、過大な借入は不景気に弱くなる点は覚えておきましょう。
Part5 キャッシュフロー計算書(C/F)——現金の流れを見る
利益が出ていても、手元の現金が足りずに倒れてしまう。これが「黒字倒産」です。それを見抜くのが、C/F の役割です。
C/F は、営業・投資・財務の3区分で構成されます。
営業・投資・財務キャッシュフローの符号だけでは良否を判断できません。営業CFは運転資本や一時要因で変動し、投資CFのマイナスは設備投資・買収・金融資産購入など内容が異なります。財務CFも借入・返済・増資・配当・自己株取得で意味が変わるため、事業段階と取引内容を注記・決算説明資料で確認します。
Part6 3表をつなげて読む
3つの表は、互いに連動しています。
P/Lの当期純利益はB/Sの純資産へ影響しますが、配当、自己株式、その他の包括利益等でも変わります。C/Fの現金増減も、利益と一致するとは限りません。各表のつながりは注記と増減明細で確認します。
Part7 まとめと次の一歩
決算書は、P/Lで一定期間の損益、B/Sで期末時点の資産・負債・純資産、C/Fで現金の増減要因を確認します。
最初は、各表の代表的な1〜2項目だけでも十分。慣れていくほど、会社の物語が、数字の中から立ち上がって見えてくるはずです。
次回 Vol.5 では、買うタイミングのヒントになる「チャートで考える——トレンド・移動平均・出来高・ローソク足の実践」を解説します。どうぞお楽しみに!
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