つみたて投資Lab
← ブログ一覧へ
個別株分析バリュー株国策テーマ上級者向け

共和電業(6853)株価は割安か|三軸で見るバリュー株分析

「毎週水曜:バリュー株紹介」第1回です。 このシリーズでは、時価総額300億円以下の小型株の中から、まだ広く知られていないものの技術力・財務が確かな企業を1社ずつ取り上げ、「業績財務」「割安度」「国策テーマ」の三軸で企業の見方を解説していきます。個別の売買を勧めるものではなく、あくまで企業分析の視点を学ぶための教材として使ってください。

第1回で取り上げるのは、ひずみゲージ(力やひずみを電気信号に変える計測部品)の国内パイオニア、共和電業(6853、東証スタンダード)です。結論から言うと、財務は自己資本比率76.7%と極めて健全、テーマ性は防衛・宇宙・GXなど複数の国策予算に接続しており評価できる一方、割安度は「際立って安い」水準ではなく、直近の営業利益は原価上昇で減益という弱気材料も抱えています。 三軸それぞれの根拠を順番に見ていきましょう。

共和電業(6853)とはどんな会社か

結論: 1951年に国産初のひずみゲージを発売した老舗の計測機器メーカーで、時価総額は約207億円(2026年7月3日時点)の小型株です。

共和電業は、自動車の衝突・耐久試験、橋梁・ダムなどインフラの防災監視、航空宇宙・防衛分野の構造試験など、「モノにかかる力やひずみを測る」計測機器・センサーの国内パイオニアです(出典:共和電業コーポレートサイト沿革、日本試験機工業会)。東証スタンダード市場に上場しており、株価798円・時価総額約207億円(2026年7月3日時点、株予報Pro/みんかぶ)という小型株に位置づけられます。

バリュー株を見る三つの視点

結論: このシリーズでは「業績財務」「割安度」「国策テーマ」の三軸で企業を採点します。共和電業の内部評価(アナリスト分析による社内スコア、10点満点)は業績財務6点・割安度6点・テーマ性8点です。

視点 スコア(10点満点) ひとことで言うと
業績・財務 6 財務は極めて健全。ただし直近は減益
割安度 6 PBRは1倍近辺。突出した割安さではない
国策テーマ 8 防衛・宇宙・GXなど複数テーマに接続

以下、それぞれの根拠を確認します。

業績・財務(6点):健全性は高いが、足元は減益

結論: 自己資本比率76.7%・実質無借金に近い財務体質を持つ一方、2026年12月期第1四半期の営業利益は原材料・人件費コスト増で前年同期比10.7%減となりました。

2025年12月期は売上高162.72億円(前期比6.0%増)、営業利益13.85億円(同2.2%増)と3期連続の増収増益を達成しました(出典:ログミーファイナンス記事)。会社は2026年12月期に売上高165.00億円・営業利益14.50億円という増収増益予想を掲げていますが、Q1(2026年1〜3月)は売上高46.53億円(+3.2%)に対し営業利益6.33億円(△10.7%)と減益でのスタートです(出典:2026年12月期第1四半期決算短信)。

一方で自己資本比率は76.7%(2025年12月期末・2026年3月末とも)、総資産239.4億円に対し短期借入金はわずか4億円という、借金にほとんど頼らない財務体質です(出典:同決算短信 貸借対照表)。「借金に頼らず利益を積み上げているか」という財務健全性の見方の基本は100時間で株式投資をマスター Vol.4でも解説しています。

ただしROEは実績5.68〜9.0%程度にとどまり、中期経営計画「KYOWA Vision 2027」が掲げる2027年度ROE8%目標には道半ばです(出典:株予報Pro/みんかぶ、ログミーファイナンス記事)。財務は健全でも、稼ぐ効率という点では改善余地が残ります。

割安度(6点):PBR1倍近辺、突出した安さではない

結論: 2026年7月3日時点の株価798円に対しPBR実績1.10倍・会社予想PERは約17.5倍。同業のチノー(6850)より高く、A&Dホロンホールディングス(7745)より割安という、中間的な水準です。

PER(株価収益率、株価が1年分の利益の何倍か)・PBR(株価純資産倍率、株価が純資産の何倍か)の基本は100時間で株式投資をマスター Vol.1で解説していますが、割安・割高の判断は同業他社との比較が基本です(業界ごとの株価指標の目安)。

銘柄 PER(会社予想) 自己資本比率 ひとことコメント
共和電業(6853) 約17.5倍 76.7% 今回の分析対象
チノー(6850) 12.65倍 56.9% 同業の計測機器メーカー。6期連続最高益を更新中
A&DホロンHD(7745) 8.35倍(参考値) 計測機器+半導体検査装置の持株会社。原典未直接確認のため参考値

(出典:株予報Pro/みんかぶ、各社決算情報。A&DホロンHDの数値は検索エンジン経由の要約情報で原典未確認のため参考扱い)

PBRがほぼ1倍近辺にあり、実質無借金・高自己資本比率という財務体質を踏まえると割安感を完全には否定できません。ただしROEが中期目標未達の状態でもあり、「バーゲン価格」と言えるほどの低評価ではない、という中庸な位置づけです。割安に見える銘柄が実は成長が止まっているだけ、という「バリュートラップ」の考え方はスタンダード市場で割安な成長株を探すコツでも解説しています。

国策テーマ(8点):防衛・宇宙・GXへ複数接続

結論: 防衛費増額、宇宙戦略基金、GX(脱炭素・エネルギー)、国土強靭化といった複数の国策テーマの「計測・実験インフラ」を下支えする位置づけにあります。

2026年12月期第1四半期は防衛関連の大口案件が売上を押し上げ、受注高もエネルギー・航空宇宙関連を中心に前年同期比11.4%増(4,383百万円)となりました(出典:2026年12月期第1四半期決算短信)。2025年12月期は環境・防災・エネルギー分野の売上高が29.64億円(前期比25.7%増)と伸長しており、ダム関連の堤体観測装置の更新需要が牽引したとされています(出典:ログミーファイナンス記事)。

単一のテーマに依存せず、防衛・宇宙・GX・インフラ老朽化対策・自動車の安全基準強化という複数の政策テーマに横断的に接続している点は評価できます。ただし、政策予算の追い風という材料があることと、それが継続的に株価・業績へ反映されるかは別問題です。実際に直近の受注増が構造的なトレンドか、大口案件による単年の押し上げかは、今後複数四半期の推移を見る必要があります。

見落とせない弱気材料(ベア視点)

結論: 減益の原価要因、特別利益に支えられた見た目の増益、資本効率の伸び悩み、小型株特有の流動性リスクなど、強気材料だけでなく弱気材料も複数あります。

  • 原価上昇による減益: 2026年Q1の営業利益は原材料価格高騰・販管費増加で前年同期比10.7%減。通期の増益予想(+4.6%)の達成には下期での原価率改善が前提となります(出典:同決算短信)。
  • 特別利益による見た目の増益: Q1純利益+15.5%は投資有価証券売却益1.19億円という特別利益に支えられており、本業ベースの経常利益は前年同期比7.2%減でした。特別利益を除いた実力線では、増益ペースは会社発表数値ほど強くない可能性があります。
  • 資本効率の伸び悩み: ROEは実績5.68〜9.0%程度で、中期経営計画の2027年度目標8%には届いていません。改善が計画通り進まなければ、PBR1倍前後の評価が長期化するリスクがあります。
  • コンサルティングセグメントの縮小: 鉄道関連需要の一巡により2025年12月期▲6.1%、2026年Q1▲5.0%と縮小基調が続き、計測機器セグメントの成長の一部を相殺しています。
  • 国策テーマの政策依存: 防衛・宇宙・GXは政府予算の執行状況や政局に左右されるため、テーマの持続性は継続的なウォッチが必要です。
  • 小型株の流動性リスク: 時価総額約207億円・東証スタンダード市場の小型株であり、出来高が限られ株価変動性が大型株より大きくなる可能性があります。海外の同業(Vishay Precision Group等)との価格競争や為替変動も収益変動要因です。

シナリオで考える:EPS×PERの試算という「型」

結論: 個別株分析では、業績予想(EPS=1株当たり利益)と評価水準(PER)を掛け合わせて試算する「EPS×PER」という考え方の型があります。以下はあくまで教育目的の試算例で、目標株価や推奨ではありません。

シナリオ 前提(要約) EPS(円) PER(倍) EPS×PERの試算
強気 国策テーマの受注拡大が複数四半期続き、中期計画目標を前倒しで達成 58 18 約1,044円
基本 2026年12月期の会社予想線(EPS45.62円)で着地、評価水準はほぼ現状維持 45.62 17.5 約799円
弱気 原価上昇が続き特別利益も剥落、実力ベースの純利益が低下 35 13 約455円

この試算は、「前提が変われば結果も変わる」ことを示す教材です。強気シナリオが崩れる条件は「防衛・宇宙関連の予算執行の遅延」や「原価上昇分を価格転嫁できないこと」、弱気シナリオが崩れる条件は「主要顧客の設備投資の早期回復」などで、前提(ブレイク条件)とセットで理解することが重要です(出典:2026年12月期第1四半期決算短信を基にした試算)。

今後の注目ポイント(ウォッチリスト)

結論: 「原価率が改善するか」「防衛関連の受注が単発か継続か」の2点が当面の最重要チェックポイントです。

  • 2026年12月期通期決算(2027年2月頃発表見込み)での営業利益率の推移
  • 防衛関連の大口案件が単発か継続受注かの見極め(次四半期以降の受注高・受注残高)
  • 中期経営計画「KYOWA Vision 2027」の進捗(2027年度目標:売上高170億円・営業利益17億円・ROE8%)
  • 自己株式取得など株主還元策の継続性(2025年度は約10億円の自己株買いを実施済み)
  • 通期業績予想の修正有無(次回は2026年8月頃の第2四半期決算に注目)

この記事の使い方

結論: 今回の共和電業は「三軸フレームワークの当てはめ方を学ぶ実例」として取り上げたものであり、売買を判断する材料としてそのまま使うものではありません。

同じ三軸(業績財務・割安度・国策テーマ)を、気になる別の銘柄にも当てはめてみると、フレームワークの理解が深まります。財務の見方は100時間で株式投資をマスター Vol.4、割安度の同業比較は業界ごとの株価指標の目安を参考にしてください。

手を動かす

まとめ

共和電業(6853)は、自己資本比率76.7%という健全な財務基盤を持ちながら、防衛・宇宙・GXなど複数の国策テーマに接続する小型株です。ただしPBRは1倍近辺で突出した割安さではなく、直近は原価上昇による減益という弱気材料も抱えています。個別の売買判断は、今回のような三軸の根拠と弱気材料の両方を踏まえたうえで、ご自身の責任で行ってください。

[免責] 本記事は教育・情報提供を目的とした分析であり、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。数値は公表資料に基づく概算であり、将来の業績・株価を保証するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任で行ってください。

出典・データ基準日

  • 株式会社共和電業 2026年12月期第1四半期決算短信(2026年5月7日開示)
  • ログミーファイナンス「共和電業、売上高・営業利益ともに3期連続で増加 積極的な株主還元等の施策によりPBR1倍超えを達成」
  • 株予報Pro/みんかぶ 共和電業(6853) 株価・PER・PBR・配当利回り情報(2026年7月3日時点)
  • 共和電業コーポレートサイト・沿革、日本試験機工業会
  • 比較用:チノー(6850)決算情報、A&Dホロンホールディングス(7745)株価情報(一部原典未直接確認・参考値)

本記事のデータ基準日は2026年7月3日(株価・指標)、決算数値は2026年5月7日開示の第1四半期決算短信によります。

PR資産運用を基礎から学べる無料体験会
ファイナンシャルアカデミー 資産運用スクール 無料体験会

このシミュレーションを現実にする

新NISAは証券口座から。手数料が安く積立に強い人気のネット証券で始めましょう。

PR
総合力No.1
SBI証券口座開設数トップクラス。クレカ積立や取扱商品が豊富で、まず開くなら定番。提携準備中
初心者人気楽天証券楽天ポイントで投資できる。画面が分かりやすく初心者人気が高い。米国株に強いマネックス証券米国株の取扱いが豊富。クレカ積立のポイント還元率が高め。

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムにより収益を得る場合があります。表示順は優劣を示すものではありません。 口座開設の条件・手数料は各証券会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

広告スペース(Google AdSense 審査通過後に表示されます)

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。 投資判断はご自身の責任で行ってください。