全世界株式とS&P500を半分ずつ買っても、「米国とそれ以外が半分ずつ」にはなりません。全世界株式の中にも米国株が入っているためです。ここでは指数の違いを整理し、2本を合計した中身の割合を計算するところまで進めます。
指数と投資信託の商品名を分ける
「オルカン」は特定商品の愛称として使われる一方、会話では全世界株式型全般を指すこともあります。本記事では、比較範囲をMSCI ACWIに連動する全世界株式型とS&P500に連動する米国株式型に限定します。全世界株式型でも別の指数を採用する商品は対象銘柄が異なります。
| 比較項目 | MSCI ACWI | S&P500 |
|---|---|---|
| 指数提供元 | MSCI | S&P Dow Jones Indices |
| 基本的な対象 | 先進国・新興国の大型・中型株 | 米国の主要な大型株 |
| 小型株を幅広く含む設計か | いいえ | いいえ |
| 米国以外の株式 | 含む | 基本的に米国株を対象とする |
| 商品の費用・為替ヘッジ | 指数名だけでは決まらない | 指数名だけでは決まらない |
対象の定義はMSCIの指数説明とS&Pの指数説明で確認しています(2026年9月18日)。構成比は相場や銘柄の見直しで変わるため、現在の国別比率を固定値として掲載することはせず、以下では明示した仮定値で計算します。
100万円を2本に分けたときの中身を計算する
ここからの全世界株式の米国比率60%は演習用の仮定です。現在の実際の構成比ではありません。 簡略化のため現金等はなく、米国株式型の米国比率は100%とします。
計算式は次のとおりです。
全体の米国株比率=全世界株式の保有割合×その中の米国比率+米国株式型の保有割合×100%
| 全世界株式/米国株式型の配分 | 全世界株式に含まれる米国株 | 米国株式型の米国株 | 合計の米国株比率 |
|---|---|---|---|
| 100%/0% | 100%×60%=60% | 0% | 60% |
| 75%/25% | 75%×60%=45% | 25% | 70% |
| 50%/50% | 50%×60%=30% | 50% | 80% |
100万円を50万円ずつ分けた最後の例では、米国株は「50万円×60%+50万円=80万円」。米国以外は「50万円×40%=20万円」です。2本に分けること自体が悪いのではなく、米国への配分を増やす組み合わせであると理解することが要点です。
全世界株式中の米国比率が仮に70%へ変われば、50%ずつ保有した場合の全体比率は85%になります。保有比率が同じでも、中身が変われば合計も変わります。
実際の月報で同じ計算をする手順
- 両商品の運用会社サイトから、できるだけ同じ基準日の月報を開く。
- 「国・地域別構成比」の米国比率を転記する。株式部分に対する比率か、純資産全体に対する比率かも記録する。
- 自分の現在の評価額を同じ日の合計額で割り、各商品の保有割合を出す。購入時の金額比率とは区別する。
- 各商品の米国比率に保有割合を掛け、足す。
- 現金・先物等がある、基準日が違う、分類方法が違う場合は、単純合算できるか確認し、概算の範囲を残す。
記入例は次のようになります。数値は引き続き架空です。
| 記録欄 | 全世界株式型 | 米国株式型 |
|---|---|---|
| 評価額 | 60万円 | 40万円 |
| 全体に占める割合 | 60% | 40% |
| 月報の米国比率(同一定義と仮定) | 60% | 100% |
| 全体への寄与 | 36% | 40% |
この場合は合計76%です。「毎月半分ずつ買っているから保有も半分」とせず、評価額で計算し直します。資産配分チェックでは保有項目の割合を整理できますが、ファンド内部の国別比率を自動取得・推定する機能はありません。この合算は月報を使って別途行います。
米国株比率と為替リスクは同じ数字ではない
国別構成比は企業の国・地域の分類であり、企業がどの国で売上を稼ぐかの比率とは別です。また、円で購入できるファンドでも、為替変動の影響がなくなるわけではありません。
為替ヘッジなしのドル資産を単純化した例で、現地通貨で10%上昇し、1ドル150円から135円へ円高になった場合を計算します。
円換算の変化率=1.10×(135÷150)−1=−1%
現地で10%上がっても、円換算では1%下がる例です。逆に円安なら押し上げる場合もあります。これは単一ドル資産の演習で、多国籍企業の事業への為替影響、配当、費用、税金は含めません。全世界株式全体の値動きをそのまま示す計算でもありません。
2つの指数の成績を比べる前に揃えること
比較対象が揃っていないと、差を地域の違いだけで説明できません。
- 同じ開始日・終了日を使う。
- 円建て同士など通貨を合わせる。
- 価格指数か配当込み指数かを合わせる。
- ファンドなら分配金再投資の扱いと費用控除後の数値かを合わせる。
- 同じ指数内の商品選びと、違う指数への資産配分を分ける。
費用の比較はインデックスファンドの選び方とコスト比較ツールで行えます。地域の配分、株式全体の比率、生活資金の確保は別の判断です。どちらの指数が今後上回るか、この計算からは分かりません。
更新記録(2026年9月18日):繰り返しの確認リストを整理し、保有比率の合算・月報転記・円換算の3つの演習を追加しました。配分例は推奨割合ではありません。