Vol.4 までで、「何を買うか」、つまり会社の中身を見てきました。今回の Vol.5 は、「いつ動くか」のヒントをくれる、テクニカル分析の実践編です。
チャートは過去の価格・出来高を表示するもので、将来価格や売買の成功確率を保証しません。ここでは各表示の定義と解釈の限界を整理します。
Part1 まずはトレンドを見る
チャートで最初に確認したいのは、「方向(トレンド)」です。
高値と安値がともに切り上がっていれば、上昇トレンド。切り下がっていれば、下降トレンド。横ばいなら、もみ合いです。
細かな上下に惑わされず、全体がどちらを向いているかを大づかみにとらえる。これが第一歩です。
「トレンドに逆らわない」という格言はありますが、上昇トレンドが続く保証はなく、高値で反転する場合もあります。
Part2 ローソク足の読み方
日本発祥の「ローソク足」は、1本で4つの価格(始値・終値・高値・安値)を表す優れものです。
陽線は終値が始値を上回ったこと、陰線は終値が始値を下回ったことを示します。1本だけで買い手・売り手の勢いや次の価格方向を確定できません。
実体は始値と終値の差、ヒゲは高値・安値までの範囲です。形の意味は前後の価格や時間軸で変わり、1本だけで勢い・反転を確定できません。
複数本を確認しても、勢いや将来の価格方向を客観的に確定できるわけではありません。期間、価格、出来高等の観察条件をそろえます。
Part3 移動平均線——トレンドの可視化
移動平均線は、一定期間の終値の平均をつないだ線で、トレンドを見やすくしてくれる定番の道具です。
25日・75日など期間の異なる移動平均線を表示する方法があります。期間設定は例であり、傾きや価格との位置関係だけで将来方向は判断できません。
短期線が長期線を上抜ける形は「ゴールデンクロス」、下抜ける形は「デッドクロス」と呼ばれます。どちらも過去価格から計算される遅行的な形で、上昇・下落を保証しません。
ただし、これらは遅れて出ることも多いもの。あくまで目安として使いましょう。
Part4 出来高——関心の大きさ
出来高は、売買された株数のこと。その銘柄への関心の強さを示します。
価格上昇と同時に出来高が増える場合がありますが、それだけで上昇の健全性や継続性は判断できません。
出来高が少ない場面では売買価格が動きやすい場合がありますが、「だまし」の確率を固定的に示すものではありません。
ニュースや決算の前後で出来高が変化する場合があります。価格と出来高を合わせても、その動きが続くかは確定できません。
Part5 支持線と抵抗線
過去に何度も下げ止まった価格帯を「支持線(サポート)」、何度も跳ね返された価格帯を「抵抗線(レジスタンス)」と呼びます。
支持・抵抗は、過去に価格が反応した価格帯を観察する方法です。将来の反発、転換、売買価格を保証せず、価格帯を通過する場合もあります。
Part6 テクニカルの限界とのつき合い方
テクニカル分析は、万能ではありません。
同じチャートでも、見る人によって解釈は分かれます。想定外のニュースで、一瞬にして崩れることもあります。
トレンド、出来高、移動平均は、いずれも価格・売買データに基づき、互いに完全に独立した証拠ではありません。複数が一致しても将来方向は保証されません。
企業業績、開示情報、資金目的、許容損失など、チャート以外の情報も別に確認します。
Part7 まとめと次の一歩
チャートは「トレンド → ローソク足 → 移動平均 → 出来高 → 支持・抵抗」の順で過去の状況を整理できます。
ただし、この手順から「確率の高い売買場面」が自動的に分かるわけではありません。
次回 Vol.6 では、買う価格が妥当かを判断する「割安・割高を見抜く——バリュエーション(PER/PBR/配当利回り/PEG)の使いこなし」を解説します。どうぞお楽しみに!
[免責] 本記事は教育・情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却・保有を推奨または勧誘するものではありません。本文中の数値・試算は記載条件に基づく概算で、将来の運用成果、配当、価格回復または元本を保証しません。制度・税制は変更される場合があります。最新の公式情報を確認し、投資判断はご自身の責任で行ってください。