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決算書営業利益率企業分析計算例

売上・営業利益・利益率の読み方|増収なのに減益になる計算例

「増収増益」だけでは、利益が増えた理由までは分かりません。この記事では、同じ架空企業の売上・費用・利益をつなぎ、どこで差が生じたかを金額で説明する練習をします。実在企業の業績・見通しではありません。

資料の様式を確かめる実物として、兼松エンジニアリングの決算短信では、表紙に経営成績、PDFの10ページ目(印刷ページ8)に損益計算書があります。以下の数値はこの企業から取ったものではなく、日本基準の一般事業会社を想定した教材です。

最初に、3種類の表を使い分ける

損益計算書(P/L)は一定期間の売上・費用・利益、貸借対照表(B/S)は期末時点の資産・負債・純資産、キャッシュフロー計算書(C/F)は期間中の現金の増減を読み取る資料です。利益と現金は同じではありません。企業会計基準委員会の作成基準でも、C/Fを他の財務諸表と併せて位置付けています。

本記事はP/Lの練習です。B/S・C/Fとのつながりは利益と現金がずれる計算例で確認できます。

3期分を同じ単位で並べる

次は架空のA社です。各期とも12か月、非連結、会計方針と事業範囲の変更なし、金額は百万円と仮定します。

指標 前々期 前期 当期
売上高 1,000 1,100 1,210
営業利益 100 110 90
営業利益率 10.00% 10.00% 約7.44%

営業利益率=営業利益 ÷ 売上高 × 100なので、当期は90÷1,210×100=約7.44%です。売上は伸びていますが、売上に対して残る営業利益の割合は下がっています。

前期から当期の増減は、次のように計算します。

  • 売上高の増減額:1,210−1,100=+110百万円
  • 売上高の増減率:(1,210÷1,100−1)×100=+10.00%
  • 営業利益の増減額:90−110=−20百万円
  • 営業利益の増減率:(90÷110−1)×100=約−18.18%
  • 営業利益率の差:約7.44%−10.00%=約−2.56ポイント

「利益率が2.56%下がった」より「2.56ポイント低下」と書くと、割合の差なのか変化率なのかを区別できます。

増収なのに減益になった場所を探す

架空のP/Lを少し詳しくします。

項目(百万円) 前期 当期 差額
売上高 1,100 1,210 +110
売上原価 770 880 +110
売上総利益 330 330 0
販売費及び一般管理費 220 240 +20
営業利益 110 90 −20

売上の増加110と原価の増加110が同額なので、売上総利益は増えていません。さらに販管費が20増え、営業利益が20減りました。

ここで言えるのは「増収分は原価増で相殺され、販管費増が営業減益につながった」までです。原価増の原因が材料価格なのか販売数量なのかは、この表だけでは分かりません。

実際の資料では、経営成績の説明、製品構成、価格改定、原材料費、人件費などを読みます。会社が要因別金額を出していなければ、推測で金額を割り振らず「内訳未確認」と記録します。

純利益の増加を本業の改善と取り違えない

同じ架空例で、前期純利益は80、当期純利益は140だったとします。当期の営業外収益と費用は各10、特別利益として資産売却益100、税金等は50と仮定します。

当期純利益=営業利益90+営業外収益10−営業外費用10+資産売却益100−税金等50=140

前期からの純利益増加率は(140÷80−1)×100=**75%**です。それでも営業利益は減っています。純利益75%増だけを「本業が好調」と言い換えると、説明が変わってしまいます。

この例では資産売却益の存在が与えられています。実在企業に同じ理由を当てはめず、特別損益や注記で何が起きたかを確かめます。IFRSなど会計基準が違えば表示項目・区分も異なるので、この並びを全社共通の様式として扱いません。

前期が赤字なら、率より差額を見る

前期営業利益−10、当期+10を通常の式に入れると、(10÷−10−1)×100=−200%になります。黒字転換したのに「200%減」と書けば誤解を招きます。

この場合は「営業損益は20百万円改善し、10百万円の赤字から10百万円の黒字へ転換」と金額と状態を示します。前期が0なら通常の割り算自体ができません。会社が表示する増減率の注記も読みます。

記入済み分析メモ

記録欄 今回の架空例の答え
観察したこと 売上10%増、営業利益約18.18%減、純利益75%増
計算で説明できること 売上総利益は横ばい、販管費20増で営業利益20減
一時要因 純利益に資産売却益100を含む
まだ分からないこと 原価・販管費増の内訳、翌期への継続性
次に読む箇所 会社の増減説明、費用内訳、資産売却の注記、会社予想

実績・会社予想・自分の仮定は別々に書きます。複数企業を比べるときも、同じ期間・単位・会計範囲から始め、単に利益率が高い順で良い会社と決めません。

自分で解く練習

架空の次期売上高1,320、営業利益105.6なら、営業利益率と当期90に対する増益率はいくらでしょうか。

答えは、105.6÷1,320×100=8.00%、(105.6÷90−1)×100=約17.33%増です。利益は回復していますが、前々期・前期の利益率10%には戻っていません。金額、率、比較する期の三つを分けて説明する練習になります。

計算結果は表示桁で四捨五入しています。架空演習は当サイトが作成したもので、企業評価・売買判断・将来の利益予測を示すものではありません。

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。 投資判断はご自身の責任で行ってください。