水曜のバリュー株紹介|上級者トラック
結論:5分野が増収でも、PERと営業CFを同時に確認する
結論:日本プロセスは、電力・鉄道、ADAS、航空宇宙、半導体・SSD、産業ICTという5分野を持つ社会インフラの裏側のソフト会社です。2026年5月期は5セグメントすべてが増収で、自己資本比率は79.7%でした。一方、2027年5月期予想PERは約14.00倍と比較会社より高く、営業CFは191百万円まで低下しています。成長・財務・テーマ性だけでなく、評価倍率と現金創出を対置して読む記事です。
本記事は、情報確認日:2026年8月19日、同日19:12 JSTをデータカットオフとするアナリストJSONを基にしています。株価・時価総額は同日終値、業績は2026年5月期決算資料が基準です。日本プロセスの売買・保有を推奨するものではありません。
日本プロセス(9651)は何の会社か
結論:日本プロセスは、要件定義から設計・開発・検証・運用保守までを一貫して担うT-SESを技術基盤に、停止許容度の低い社会・産業システムを支えています。
電力・鉄道の制御、ADAS(先進運転支援システム)、航空宇宙、半導体・SSD、産業ICTなど、一般消費者からは見えにくい領域が中心です。政策テーマとの接点はありますが、政策予算が同社の売上へ直接配分されることは確認できません。したがって、ここでは「国策銘柄」と断定せず、事業領域との整合として扱います。
5事業領域はすべて増収、ただし伸びの中身を分ける
結論:5セグメントすべてが増収で、組込システムと産業・ICTの伸びが目立ちます。ただし、セグメント利益の合計は全社費用などの調整前で、連結営業利益とは一致しません。
| 事業領域 | 2026年5月期売上高 | 前期比 | セグメント利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 制御システム | 1,945百万円 | +14.0% | 487百万円 | +20.9% |
| 自動車システム | 2,632百万円 | +9.3% | 649百万円 | +7.8% |
| 特定情報システム | 2,013百万円 | +12.3% | 523百万円 | +5.6% |
| 組込システム | 1,838百万円 | +24.6% | 371百万円 | +38.9% |
| 産業・ICT | 3,689百万円 | +19.4% | 764百万円 | +28.2% |
全社では売上高12,119百万円(前期比15.7%増)、営業利益1,509百万円(同31.8%増)、営業利益率12.5%でした。2027年5月期会社予想も売上高13,380百万円(同10.4%増)、営業利益1,665百万円(同10.3%増)です。純利益は2026年5月期に23.0%減りましたが、前期の投資有価証券売却益841百万円の反動が主因と説明されています。
財務は強いが、営業キャッシュフローは要確認
結論:自己資本比率79.7%、現金及び現金同等物5,642百万円は財務面の材料です。一方、営業CFは191百万円で、前期498百万円から低下しました。利益が増えても現金化が弱い可能性を、次の決算で確認する必要があります。
営業CFの低下には、税金等の支払い935百万円、売上債権の増加578百万円が影響しています。一時的な要因を含むため、これだけで事業の悪化とは断定できません。しかし、営業利益1,509百万円に対して営業CF191百万円という差は、評価を保留する理由になります。
自己資本比率は「会社の資産のうち、借金ではなく自分のお金で賄っている割合」です。高い水準でも、キャッシュが案件や投資で拘束されることはあります。財務の読み方は銘柄分析マスター講座④|自己資本・流動性・キャッシュフローの確認で補足しています。
PER約14.00倍は比較会社より高い
結論:2026年8月19日終値1,945円と会社予想EPS138.91円から、予想PERは約14.00倍、PBRは約1.62倍です。KSKのPER11.60倍、コアの10.06倍を上回るため、連続営業増益がこのプレミアムを支え続けるかが論点です。
| 指標 | 日本プロセス | KSK | コア |
|---|---|---|---|
| 予想PER | 約14.00倍 | 11.60倍 | 10.06倍 |
| PBR | 約1.62倍 | 1.48倍 | 1.45倍 |
| 自己資本比率 | 79.7% | 70.4% | 73.5% |
事業構成は同一ではないため、倍率差だけで割高・割安を断定できません。過去各期末PERは9.37〜14.11倍で、現在の約14.00倍は上限に近い位置です。予想配当は92円、予想配当利回りは約4.73%、予想配当性向は66.2%ですが、配当の持続性も確認項目です。
三軸スコア:業績・財務8、割安度5、テーマ性7
結論:8・5・7は推奨度ではなく、確認できた強みと未確認事項を同じ枠で記録した分析上の点数です。
| 軸 | スコア | 加点材料 | 留保 |
|---|---|---|---|
| 業績・財務 | 8/10 | 連続増収・営業増益、自己資本比率79.7% | 営業CF191百万円、純利益の一時益反動 |
| 割安度 | 5/10 | 財務余力、予想配当利回り約4.73% | PER約14.00倍、比較会社より高い |
| テーマ性 | 7/10 | デジタル政府、AI・半導体、宇宙政策との整合 | 政策から受注・売上への直接寄与は要確認 |
シナリオは目標株価ではなく感応度表
結論:EPS×PERの参考値は、前提が変わったときに評価がどう動くかを見るための機械的な試算です。発生確率、目標株価、売買判断を示しません。
| 仮定 | EPS | PER | 機械的参考値 | 反証条件 |
|---|---|---|---|---|
| 上振れ仮定 | 153.00円 | 15.0倍 | 2,295円 | 自動車・クラウドの弱さなどで営業利益1,665百万円を下回る |
| 会社予想基準 | 138.91円 | 14.0倍 | 1,945円 | 会社予想の修正、要求PERの変化 |
| 下振れ仮定 | 115.00円 | 10.0倍 | 1,150円 | 航空宇宙・SSD・鉄道などが弱さを補う |
反証条件とウォッチ項目
結論:この見方を更新する鍵は、営業CF、会社予想の進捗、減速分野の補完、自己株式取得後の資金配分です。
反証条件は「売買する条件」ではなく、分析の前提を書き換える条件です。
- 営業CFが2027年5月期も営業利益に対して低位で、売上債権の増加が続く。
- 営業利益の会社予想1,665百万円が下方修正される、または通期実績が下回る。
- 自動車分野の減速を、鉄道更新・航空宇宙・SSD・政府関連で補えない。
- 予想PERが比較会社より高いまま、利益成長率が一桁へ鈍化する。
- 政策テーマに関する具体的な受注・売上寄与が開示されない状態が続く。
次回以降は、会社予想の売上高13,380百万円、営業利益1,665百万円、EPS138.91円への進捗、営業CF・売上債権・税支払い、自己株式883,000株の取得後の資金配分、年間配当92円と配当性向66.2%の持続性を確認します。
FAQ
結論:5事業の増収、財務の強さ、PERプレミアム、営業CFの弱さは、それぞれ別の確認項目です。
Q. 5分野が増収なら、業績は安定していますか?
5セグメントすべてが増収という事実はあります。ただし、自動車やクラウド大型開発には減速余地があり、他分野で補えるかは今後の開示で確認します。
Q. 自己資本比率79.7%なら安心ですか?
自己資本比率は財務の一面です。営業CF191百万円、売上債権増加578百万円、税支払い935百万円も併せて確認する必要があります。「安心」や損失回避を保証する指標ではありません。
Q. PER約14.00倍は割高ですか?
比較会社より高いという相対的な事実はありますが、事業構成や成長率が異なるため、倍率だけで割高・割安は決められません。
Q. 国策テーマで業績は伸びますか?
政策の方向性と事業領域には接点があります。しかし、政策予算から日本プロセスの受注・売上への直接寄与額は確認できません。
次に読む1本と使う1ツール
個別株の論点を資産全体へ広げるときは、資産配分・集中度チェックで銘柄・業種への集中度を確認できます。表示は売買判断や将来成果を保証しません。
次に読む記事は、銘柄分析マスター講座④です。自己資本比率と営業CFの読み分けを整理できます。
出典・基準日
- 日本プロセス「2026年5月期 決算短信」(2026年7月7日公表)S1
- 日本プロセス「2026年5月期 決算説明資料」(2026年7月17日公表)S2
- 日本プロセス「トップメッセージ」「制御システム」「組込システム」(2026年8月19日確認)S4・S5・S6
- Yahoo!ファイナンス「日本プロセス(株)【9651】」(株価・時価総額データ日2026年8月19日、19:12 JST確認)S7
- IRBANK「日本プロセス 過去のPER」(各期末データ: 2021年5月期〜2025年5月期、2026年8月19日確認)S11
- Yahoo!ファイナンス「(株)KSK【9687】」(データ日: 2026年8月19日、19:12 JST確認)S12
- Yahoo!ファイナンス「(株)コア【2359】」(データ日: 2026年8月19日、19:12 JST確認)S13
- デジタル庁、経済産業省、内閣府の政策資料(2026年8月19日確認)S14・S15・S16
数値は入力アナリストJSONの記載値のみを使用しています。計算値は2026年8月19日終値と2026年7月7日公表の会社予想を組み合わせた概算です。
[免責] 本記事は教育・情報提供を目的とした一般的な企業分析です。数値・スコア・シナリオ・参考値は公表資料と一定の仮定に基づく概算で、将来の業績・株価・配当・運用成果を保証しません。個別銘柄の購入、売却、保有その他の取引を推奨・勧誘するものではありません。投資には元本割れを含む損失の可能性があります。最新の一次資料を確認し、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。