NCD(4783)の2026年3月期は、売上高が増えても営業利益率が下がり、営業利益は減りました。 連結売上高は前期比2.5%増、営業利益は6.1%減。利益率は9.3%から8.5%へ低下しています。この記事では3期の通期実績をそろえ、計算式と会社の説明から「増収減益」の読み方を確認します。最新の四半期は前年同期と別に比較し、通期回復や株価上昇を示すものとは扱いません。
情報確認日:2026年9月23日。通期実績は2026年3月期まで、最新四半期は2026年4〜6月です。特定銘柄の売買をすすめる記事ではありません。
NCDはどんな会社か
NCDは、ITシステムの開発・運用などと、駐輪場の管理システムを手がける東証スタンダード上場企業です。今回は会社の優劣を決めるのではなく、売上と利益の動きが異なる実例として取り上げます。
会社公式の説明では、IT関連事業で培った知見をパーキングシステムにも展開しています。こうした説明は事業を理解する手がかりですが、他社より技術が優れていることや、将来の競争力を保証するものではありません。
規模の参考として、2026年9月18日終値2,628円に、6月30日時点の発行済株式数814万株を掛けると、時価総額は約213.9億円です。自己株式を含む株数での概算で、株価と株数の基準日は異なります。小型であることだけで、割安さや値上がり余地は判断できません。
3期の数字では「連続増収」と「連続増益」が分かれる
売上高は3期で増加していますが、営業利益は2026年3月期に減っています。「売上が伸びている会社」と「利益を伸ばし続けている会社」は区別が必要です。
| 指標 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 25,481 | 30,106 | 30,867 |
| 営業利益(百万円) | 2,115 | 2,809 | 2,638 |
| 営業利益率 | 8.3% | 9.3% | 8.5% |
| 自己資本比率 | 42.6% | 48.4% | 50.1% |
出典:NCD「2025年3月期 決算短信」「2026年3月期 決算短信」の各PDF1頁。すべて日本基準の連結通期実績で、金額は百万円未満切捨て、比率は開示値です。2025年3月期には会計方針・見積りの変更があるため、増加分のすべてを通常の事業成長とは断定しません。
営業利益は、本業の売上から売上原価や販売費・一般管理費を差し引いた利益です。たとえば店の販売数量が増えても、仕入れや人件費がより増えれば、残る利益は減ることがあります。決算の用語から確認したい場合は、売上・営業利益・収益性の読み方を参照してください。
営業利益率を自分で計算する
営業利益率は「営業利益 ÷ 売上高 × 100」です。NCDでは、売上のうち営業利益として残る割合が約0.8ポイント低下しました。
| 対象 | 同じ単位で計算 | 計算結果(小数第1位) |
|---|---|---|
| 2025年3月期 | 2,809 ÷ 30,106 × 100 | 9.3% |
| 2026年3月期 | 2,638 ÷ 30,867 × 100 | 8.5% |
差は丸める前の数値で約マイナス0.784ポイントです。「約0.8ポイント低下」と書き、「0.8%減」とは区別します。割合そのものの差と、前の数値に対する増減率は別だからです。
この計算で分かるのは、売上に対する営業利益の割合です。どの費用が増えたか、変化が一時的かまでは分かりません。そこは決算短信の文章を読み合わせます。
増収減益の理由は、案件終了と費用の説明を読む
会社は2026年3月期について、採算の高い大型案件の終了や人件費などの増加、駐輪事業の一過性コスト・開発投資を説明しています。会社全体の売上だけでなく、事業ごとの事情を読む必要があります。
| 決算短信で確認する点 | 読み取るときの問い |
|---|---|
| 採算の高い大型案件の終了 | 売上を補う新案件でも、同じ利益率を確保できているか |
| 人件費などの増加 | 価格改定や生産性の改善で吸収できているか |
| 一過性コスト・開発投資 | いつまで続く費用か、次の決算でも説明があるか |
出典:NCD「2026年3月期 決算短信」PDF4〜5頁。右列は会社の業績予想ではなく、本記事で提示する確認手順です。各要因が減益額の何割を占めるかは、ここでは計算していません。
また、同資料のセグメント利益は全社経費を配分する定義へ変更されています。旧資料の未調整の事業別利益と、そのまま比較しないことが大切です。資料の集め方や比較条件は、決算短信など一次資料の読み方でも確認できます。
最新四半期の増益と、通期の回復を分ける
2027年3月期の第1四半期は増益でした。ただし、2026年4〜6月の3か月だけの結果であり、通期の回復が確定したとはいえません。
| 指標(百万円) | 前年同期:2025年4〜6月 | 最新:2026年4〜6月 | 前年同期比(会社開示) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,291 | 7,301 | +0.1% |
| 営業利益 | 370 | 414 | +11.9% |
出典:NCD「2027年3月期 第1四半期決算短信」PDF1頁。通期の12か月と四半期の3か月を横並びにせず、前年の同じ3か月と比較しています。四半期の数字を単純に4倍して通期を見積もることもしません。
全体は増益でも、同資料のサポート&サービス事業ではセグメント利益17百万円、前年同期比46.0%減となり、不採算案件などが説明されています。全事業が同じように改善しているわけではありません。
8月7日時点の会社の通期予想は、売上高32,000百万円、営業利益2,750百万円です。これはまだ達成されていない会社予想で、実績の表には混ぜていません。
財務・増益・テーマを別々に確認する
自己資本比率の上昇、利益の成長、事業テーマは、それぞれ別の論点です。どれか一つで総合評価を決めないようにします。
| 視点 | 今回確認できたこと | 判断できないこと |
|---|---|---|
| 財務 | 通期末の自己資本比率は42.6%→48.4%→50.1% | 50%を超えたことだけで安全とはいえない |
| 連続増益 | 売上は増加したが、直近通期の営業利益は減少 | 連続増益企業とは扱えない |
| テーマ | IT・駐輪場管理はDXや省人化に関係する事業 | 特定政策による受益や利益増加は未確認 |
自己資本比率は、総資産に対する自己資本の割合です。返済義務のある資金への依存度を見る一材料ですが、手元資金や支払時期も別途確認します。最新四半期末の比率は48.2%であり、通期末の50.1%が固定して続いているわけでもありません。
今回、同業との株価指標比較は行っていません。割安・割高の判定や目標株価は置かず、次回は利益率、不採算案件への対応、会社予想の変更を確認する方針です。
よくある質問
増収減益を見つけたら、期間・利益率・会社説明を順に確認します。数字一つを売買判断へ直結させる必要はありません。
増収減益なら、会社の状態は悪いのですか?
一概にはいえません。将来に向けた開発投資や一時的な費用もあれば、採算の悪化が続く場合もあります。費用の内容と継続期間を調べ、次の決算と照合します。
利益率の計算では円と百万円を混ぜてもよいですか?
同じ単位にそろえます。この記事では営業利益も売上高も百万円なので、そのまま割り算できます。片方だけ円にすると、桁が合わなくなります。
最新四半期が増益なら、前年通期の減益は解消しましたか?
まだ判断できません。対象期間が異なり、案件の時期や費用発生も影響します。前年同期との比較を続け、通期実績が出た段階で改めて確認します。
次の決算で確かめること
次は、売上高だけでなく利益率の変化と、その理由を一緒に記録してみてください。NCDでは、高採算案件終了後の動き、費用増加への対応、不採算案件の状況が確認点になります。
財務面も続けて確認するなら、自己資本・キャッシュフローの見方へ進めます。新たな資料が出たら、今回の数値を同じ期間・同じ定義で更新することが、決算を読む練習になります。
[免責] 本記事は決算の読み方を学ぶための情報提供であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。計算には概算・丸めを含みます。会社予想や過去実績は将来の業績・株価・運用成果を保証しません。株式投資には元本割れのリスクがあります。最新の開示資料をご確認のうえ、投資判断はご自身の責任で行ってください。